・映画「涼宮ハルヒの消失」を観たよーん。(ネタばれ注意)2010/02/23 10:53

観にいった日が、(たまたま)すべての映画が\1,000で観られる日で、なかなかラッキーだった。

「涼宮ハルヒの憂鬱」はビデオでも観ていて、結構好きな作品なのでちょっと期待はしていたのだが、これが
期待を上回る完成度
で、映画代とあわせて二重にうれしい誤算だった。(^_^)/

内容に関して詳しく語ることはしないが、登場人物の焦燥や安堵や切なさがきちんと伝わってくるいい映画だったと思う。観終わってしばらくしてから、もう一度観にいきたいと思った映画は久しぶりだ。

で、ここからがネタばれなので、できれば映画を観てから読んだほうがいいですよ、と言っておく。
(かなりぼかしてるので、観てないとチンプンカンプンだと思うが)

この映画で最も感心したのは、「時間」を扱った特撮やアニメにありがちな矛盾やごまかしが感じられず、すべてに辻褄が合っているように見えることだ。観終わってから全体を思い返してみたときに、いくつか疑問点が生じたのだが、それらには劇中にすべて解答が用意されていた。

タイムトラベルSFには数々のパラドックスが存在し、時間線がひとつであるということになると、このパラドックスを回避することは不可能だ。このために多元宇宙というものが考え出されたわけだが、「ハルヒ」の世界では時間線がひとつであるようなので(そうでないと今回の話は成り立たない)、パラドックスを回避するように登場人物が行動する。

普通はタイムトラベルもので話を複雑にすると、どこかに無理が生じて矛盾やごまかしが存在したり、あるいは鑑賞者による脳内補完が必要になってしまうのだが、この映画に限ってはそういうものがなく、きちんと辻褄が合っている。(少なくとも酢こんぶには矛盾が見つけられない)

そもそも酢こんぶは「時間」を扱った物語が大好きで、だからこそ細かいところまで矛盾やごまかしを許さない。さらに非常に突出した「突っ込み属性」を帯びているので、矛盾やごまかしを見逃さない。自分で言うのもなんだが、タイムトラベルがからんだ複雑な物語で酢こんぶに矛盾や疑問、説明不足を感じさせないのは至難の業であり、そしてこの映画はそれに成功している。

酢こんぶが当初持った疑問とその解答をいくつかあげると、

酢こんぶの疑問その1
 みくる(大)は以前にも長門に噛まれたことがあると長門の部屋で
 言っている。これは、いったいいつ噛まれたのか?

解答その1
 例の朝倉が突然飛び出してくるシーンで、みくる(小)が姿を見せるが、
 彼女は改変ポイント以前の時間に時間遡行してきたはずなので、
 何の防御も無ければ改変の影響を受けてしまう。そこで長門に噛まれた
 状態で時間遡行する必要があり、これが以前に長門に噛まれた経験である。

酢こんぶの疑問その2
 12/18早朝に改変が実行され、その後再改変されたとすると、緊急脱出
 プログラムで過去に戻ったキョンと再改変後のキョンの二人が同時に
 存在することになるが、この二人はいつ統合されるのか?
 それともどちらかが消されるのか?

解答その2
 パラドックスを生じさせないためにはキョンは緊急脱出プログラムを
 起動する必要がある。つまり再改変は改変直後に実行するわけにはいかず
 キョンが12/20に緊急脱出するのを待って実行された。
 その証拠にキョンは21日に病院で目を覚ましている。
 但し、改変直後に長門と朝倉はキョンたちに会っているので、その記憶は
 消された状態で20日まで過ごしたと考えないと矛盾が生じる。

てな感じだが、ここまでタイムトラベルマニアに対して細かい配慮がされていると、逆にいろいろなことを考えてしまう。

これほど整合性が保たれている理由として考えられるのは、

(1)原作がすでにこの域に達している。
(2)スタッフに酢こんぶ並みのタイムトラベルマニアがいる。
(3)ネットでのファンによる議論の結果を最大限取り入れた。

というところだろうか。

原作を読めば(1)が正解なのかどうかだけはわかるが、残念ながら酢こんぶは原作を読んでいない。ただ、この隙の無さから、なんとなく(3)が正解なんじゃないかなあと思うのだが、、、。


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コメント

_ ダイス ― 2010/03/03 12:12

改変直後に修正されたら「涼宮ハルヒの消失」自体が消失しませんか?

_ 酢こんぶ(管理人) ― 2010/03/04 09:38

コメントありがとうございます。

>改変直後に修正されたら「涼宮ハルヒの消失」自体が消失しませんか?

多元宇宙を前提にしたり、過去の改変が可能でパラドックスも起きないという設定になっていれば、「消失」がなかったことになっても特に問題ないんですよね。

でも「消失」の世界での時間線は一本で、多元宇宙を前提としてはいないようなので、実はハルヒがジョンスミスに二度会ったという事実から、改変が行われた世界でキョンがEnterキーを押すのは決定事項で、変更できないことなんですよ。そしてもしキョンがあのまま改変直後に修正を行っていたら、緊急脱出プログラムを起動して過去に戻ったキョンは存在しないはずで、そうなると改変は修正されないのでキョンは緊急脱出して過去へ、、、という堂々巡り(パラドックス)が発生してしまうので、改変直後にそれを修正しようとしたキョンをとめる必要があったのです。
その役割を持って朝倉が登場したのかどうかはわかりませんが、少なくともキョンがあの場面で短針銃を撃つことはできないというのが必然だったと、、、。

ということで、改変直後に修正することは不可能だったんですね。

_ ダイス ― 2010/03/04 13:53

ところが原作の続編ではまんまとキョンが直後の修正をしてしまう描写があります。(「涼宮ハルヒの陰謀」冒頭)
そして、古泉の口から「過去の改変が可能でパラドックスも起きないという設定」が仮説として語られて、読んだ当時私はいたくがっかりしました。
しかし、これは作者一流のブラフで、ご説の通り3日間の語られていないバックストーリーがあるに違いない、よって3年の空白の後に原作の完結編が来月掲載されるのだ、と今では考えています。

ところで、最初の私のコメント、「直後に修正されない」と書いている記事に対するものとしては全く不適切ですね。きちんと読んでなかったことを告白し、お詫びします。

もうひとつ、みくるはSOS団の映画を撮るときに長門に噛まれているんですよ。目から殺人ビームが出てしまって。

_ 酢こんぶ(管理人) ― 2010/03/04 15:28

>ところが原作の続編ではまんまとキョンが直後の修正をしてしまう描写があります。

ありゃ、それは困りましたね。(^_^;
でも古泉にそんな仮説を語らせるということは、「直後の修正」でタイムパラドックスが発生することを作者自身も認識しているということですから、なんだかすごく不自然ですね。わかっててわざとやってるみたいな、、、。

やはりこれはダイスさんのおっしゃるように、完結編のための伏線だったのでしょうか、、、。

_ (未記入) ― 2010/10/13 09:27

疑問その1の答えですが・・・朝比奈さんが「噛まれるのは久しぶり」と言っていたのは、おそらく文化祭の映画撮影のときに噛まれたときのことを言っているのではないでしょうか?目の光線を無害(?)にするために噛んでいたのですよ。原作溜息に書いてあります。

_ 酢こんぶ(管理人) ― 2011/05/12 09:49

>ところが原作の続編ではまんまとキョンが直後の修正をしてしまう描写が
>あります。(「涼宮ハルヒの陰謀」冒頭)

というのが少し気になったので原作を立ち読み(^_^;してみました。

私としては、あの原作の描写では改変直後に修正が行なわれたのかどうかが不明確だと思います。

キョンが目をつぶっている間に、
(1)長門と朝倉の記憶の修正。
(2)キョンが緊急脱出した後への時間移動。
(3)世界の再改変。
の順で実行されたのだとすれば、特に矛盾は生じないと思います。

立ち読みだけじゃ読み落としていることがあるかもなので、買ってきて再検証してみますかね、、、。

_ つの ― 2012/03/29 12:40

2期?を見ていないので猫と七夕のくだりがわからなかったのですが
消失は楽しくみれました。長門が可愛かったです(小学生並み感想)

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