・見知らぬ母からの電話(その3)2005/10/01 12:00

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 またさっきの繰り返しなのかと酢こんぶがうんざりしかけたとき、見知らぬ兄の声はこう言った。

「母がおかしな電話をしまして申し訳ありませんでした。」

 彼は酢こんぶが自分の弟とは別人だということはわかっているらしく、続けて今回のことについて説明をしてくれた。

(1)会社から少し離れた場所に酢こんぶと同姓同名の人が住んでいた。
(2)その人(以下都こんぶさん)は何年か前に妻子を残して家出した。
(3)都こんぶさんは最近車を買い、それが何かのルートで実家に連絡された。
(4)その車の売買契約で、勤務先として酢こんぶの会社を記入していた。
(5)確認のため会社に電話してみると、確かに在籍している。
 (これが「その1」で酢こんぶの先輩がとった電話だと思われる)
(6)いろいろ迷ったが今回本人に電話してみることにした。

 そして酢こんぶとお母さんのやり取りの後に総務に電話して、酢こんぶが都こんぶさんとは別人だということが確認できたらしい。

 やっと全てが理解できた酢こんぶは、とりあえず何かあったときのために連絡先を聞き、その後は総務に全てを任せることにした。

 こうして「見知らぬ母からの電話事件」は決着がついたかに見えたのだが、酢こんぶには少し気になることがあった。

 それは、都こんぶさんのことだ。

 都こんぶさんは酢こんぶの会社を勤務先としているが、さすがに同姓同名の人がいれば酢こんぶの耳にも入ってくるだろうし、結局彼はウソの勤務先を書いたのだろうか?

 都こんぶさんは、本当に酢こんぶの会社にはいないのだろうか?

(つづく)

・見知らぬ母からの電話(その4)2005/10/02 12:00

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 都こんぶさんのことが妙に気になった酢こんぶは、本当に社内に都こんぶさんがいないのかどうかを調べてみることにした。

 手始めに電話番号簿で調べてみる。

 結果、酢こんぶと同じ苗字の人は一人だけで、これは酢こんぶも知っている工場勤務の女性だから都こんぶさんではない。

 これで既に手詰まり状態に思えたのだが、もうひとつ可能性があった。関連会社だ。

 酢こんぶの会社は関連会社が同じ敷地内や少し離れた場所に点在していて、都こんぶさんはこの関連会社にいる可能性もある。

 ということで、同じく電話番号簿で調べてみたが同じ苗字の人はいない。都こんぶさん探しはあっという間に行き詰まってしまった。

 やはり都こんぶさんはでたらめの勤務先を書いたのだろうか?

 都こんぶさん探しが行き詰まり、それから何週間か過ぎてこの出来事をあまり思い出さなくなったある土曜日、酢こんぶはふと、都こんぶさんの家へ行ってみようかと思いついた。自分と同じ名前の人がどんなところに住んでいたのかということに興味をそそられたのだ。

 天気もいいし特にすることもないので、聞いていた連絡先の場所を地図で確かめ自転車ででかけることにした。

 そのころ会社の近くに住んでいた酢こんぶの家から、自転車で30分くらいのところに都こんぶさんのうちはあった。畑の中の庭付き二階建ての一軒家。まわりはほとんどが畑で新築に近い家もぽつぽつと建っているが、都こんぶさんのうちは昔からの農家らしく、わりと大きな門構えと広い縁側が懐かしい感じのする家だった。

(おふくろの実家がこんな感じだったな)

 そんなことを考えながら正面のコンビニで買ったおにぎりを食べていると、その家の門の中から60代くらいの女性が現れた。

 たぶんこの人が都こんぶさんのお母さんで、この前電話をかけてきた人なのだろう。いかにも農家のおばちゃんという身なりで、これから畑仕事にでも出かけるのだろうか。

 そのひとは少し立ち止まってこちらを見ている。酢こんぶだってばれたのか?いや、それはない。電話で話はしたが会っているわけではないから俺が酢こんぶだとわかるはずはない。

 そんなことを考えながら横目で様子をうかがう酢こんぶ。そして次の瞬間、その人の口から思いもかけない言葉が飛び出した。

「酢こんぶ、酢こんぶじゃないか!帰ってきてくれたんだね!」

 え?何?、、、この人は俺のことを都こんぶさんだと思ってるのか?いや、だってそんなはずは。

「あんたがいなくなってからいろいろなことがあったんだよ。
 あんたがいればあの人だって今ごろは、、、、。
 まあそんなことはいいよ。こうして帰ってきてくれたんだからね。
 ほら、はやく家にお入り。○○もいるよ。」

 都こんぶさんのお母さんは俺の背中を押しながら、意味のわからない言葉を発する。

 意味がわからない?そうか?

(○○っていうのは兄貴の名前だっけ、それとも話し合いたいといってた俺の子供の名前だったっけな。)

 なんだか頭がぼんやりして考えがまとまらない。

「○○、○○、酢こんぶが帰ってきたよ!はやくおいで。」

 俺は門をくぐりながら、さらにはっきりしなくなってくる頭で考えていた。

 ああ、そうか。
 都こんぶさんが見つからないのは当然だな。
 俺が都こんぶさんだったんだからな。
 うん、そうだ、当然だ。

 家出するまで長年暮らした懐かしい家が、俺の目の前にあった。

(完)

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 えー、いかがだったでしょうか。

 実は「その3」までは15年ほど前(まだ結婚してないとき)、酢こんぶの身に起こった本当の出来事です。そしてこの「その4」は、その話を聞いたかるた堂の店主が言ったことをヒントにして創作した部分です。

 実際には、総務に任せた後にどうなったのかは確認していないのでわかりません。

 都こんぶさんのうちに行ってみようかと思ったこともありますが、やめときました。

 だって、ほんとに上のようなことがあったら
こわいじゃないですか。(-_-;

・PSPでエミュレータ2005/10/03 12:00

 もうたくさんの人が知ってると思うが、携帯ゲーム機のPSPでは、ファミコンやゲームボーイ等のゲームを動かすことができる。もう少し具体的に言うと、PSPでそれぞれのゲーム機のエミュレータを走らせ、その上でROMから抜き出したデータを使ってゲームをすることができるのだ。

 さらに標準では動作クロックが2/3に制限されているのを、フルスピードの333MHzにアップしてエミュレータの動作スピードを改善するということもできてしまう。
(発熱量アップと連続稼動時間が短くなるというトレードオフはあるが)

 この状況に関してPSP発売元のSONYは面白くなかったらしく、すぐさまファームウェアをバージョンアップしてエミュレータが走らないようにしてしまった。しかしまたしても有志の手によってエミュレータ動作の方法が開発され、と思ったらまたすぐファームのバージョンが上がって動作不能。てなことで、古いバージョンのPSPを入手するために中古市場が盛り上がっていたりする。

 ここで少し整理してみよう。

(1)ファームウェアVer.1.0と1.5ではエミュレータが動作する。
(2)エミュレータが動作しないのはVer.1.51と1.52と2.0(これが最新)
(3)最近のPSP用ゲームは、1.51以上でないと動作しないようになっていて
 バージョンアップを強制される。
(4)ファームのバージョンを偽装するソフトもあるとか何とかで、
 それを使えば1.0や1.5でも最新ゲームが動く?(未確認)
(5)ファームをバージョンダウンできるという話もあったが立ち消えた。

 というのが9月の半ばまでの話で、新しいPSPでエミュレータを動かすのは当分無理かと思われていた。

 それが、9/27に大きな変化が訪れた。
 デンマークのSecuniaというセキュリティ会社が、PSPのファームに、システムにアクセスできる脆弱性があると警告を発したのだ。

 大多数の人はこのニュースを知っても、
「ふーん、でも俺普通にゲームしてるだけだから関係ないや。」
と思ったことだろう。しかし酢こんぶは画期的な大ニュースだと思った。

 最新のファームでシステムにアクセスできるということは、エミュレータが動く可能性が非常に高いということだ。酢こんぶと同じように考えた人は当然世間にもたくさんいるだろうから、しばらくすれば、、、、、。

 と思っていたら、9/28には、この脆弱性を利用してファーム2.0を1.5にバージョンダウンする方法が発表され、次々と成功例が報告されるという状態になった。この方法では、1.5->2.0->1.5->2.0というようにアップダウンを繰り返しても問題ないことが確認され、

「魔がさしてファームアップしてしまった。(T-T) 」
人やら
「新しくPSPを買ったらファームが1.51だった。orz」
人やらが幸せになれる日がやってきたのだった。

 でも、またまたソニーはこの脆弱性を改善した最新ファーム2.01を発表、、、、。

 という具合で、まさにいたちごっこというにふさわしい状況になっているわけだが、

a) ファームのバージョンは1.0。
b) 新しいゲームしたくなったら白PSP買えばいいや。

という酢こんぶにとっては「対岸の火事」。とりあえずは高みの見物ですわ。

 ま、バージョンアップしなかったのは「めんどくさい」というのが唯一の理由なわけだが、たまにはものぐさが役に立つこともあるね。\(^O^)/

・人を殺してはいけない理由2005/10/04 12:00

 かなり前のことだと思うが、ある新聞の投書がきっかけになって、世の中で議論が盛り上がったことがある。

 その投書の内容というのは

「子供に、どうして人を殺してはいけないか聞かれたが
 答えることができなかった。」

というものだ。

 それを読んだ酢こんぶは、その数年前に大学の先輩と飲み屋で大声上げての議論になったときのことを思い出していた。

 もともとその議論は酢こんぶが仕掛けたもので、

若いやつらが人を殺したりするとテレビでアナウンサーやらコメンテータやらが、
「人命の大切さを教えなければいけない」
などとわかったふうに言うが、自明の理として提出できる、人命が大切な理由などはないのではないか。


という趣旨だった。

 これは上の投書の内容と基本的に同じなのだが、酢こんぶはこのとき

「人の命はどうして大切なの?」

という質問をされても、論理的に説明することができないと思っていた。でも他の人はきちんと説明ができるのかもしれない、と考えて議論を始めたつもりだったのだが、

「じゃあ君は人を殺してもいいと思っているのか!」
とか
「二人の娘を持つ父親として、君のような人とは付き合いたくない!」
なんてことまで言われる羽目に、、、、。orz

 酢こんぶはそんな感情論で話をしたかったわけじゃなくて、感情や先入観を排除した上での議論をしたかったのだ。そしてこのときのメンバーはそれができると思ったので議論を仕掛けたのだが、結局これが普通の人の反応なんだと思い知らされる結果になってしまった。

 ちなみに上記の投書で議論が盛り上がった結果、「新潮」だったかが、著名人を集めてこの質問に答えてもらうという特集を組んだ。酢こんぶもそれを会社の売店で立ち読み(^_^;してみたのだが、

「そんなあたりまえのことを質問するほうがおかしい。
 そんな子に育てた親の責任だ!」

などという馬鹿げたことを言っているセンセエもいたが、何人かは、

「人を殺してはいけない普遍的な理由はない。
 だが、人間社会を成り立たせるために、
 人を殺してはいけないというルールは必要。」


という、酢こんぶも十分に納得できる結論に至っていた。

 これに倣って酢こんぶの質問に答えるとすれば、

「人命が大切だという普遍的な理由はない。
 だが、自分が大切だと思っている人の命が奪われれば悲しいだろう。
 だからむやみに人の命を奪ってはいけない。」


ということになるだろうか。

 結局のところ酢こんぶは、人命が大切なのかどうかさえ深く考えたことのない人間が、その大切さについてすべてわかっているかのように発言することに我慢ができなかったのだ。

 さて、あなたは人の命が大切だと思いますか?

・芸能ニュースと宇宙の構造2005/10/05 12:00

 三連休が続くと、いつもは見ないワイドショーやら見る機会が多くなりますわな。まあそうなると勢い芸能ニュースを見る事が多くなって、やれ、誰とだれがくっついたとか別れたとか、必要なのかどうなのかわからんような情報が満載です。

 確かに興味がなくはないけど(ミーたん情報は特に!)、
「まあどうでもいいじゃん。」
とか思ったりします。

 最近強くそう思ったのは花田さんちの揉め事です。親父が死んで遺産の相続問題その他とともに、元々仲悪いといわれていた兄弟の関係もさらに悪化したみたいですが、あんま芸能ニュース見てないのでよーわかりません。(^_^;
 なんにせよ、こんなこと芸能人でなくても頻繁にあるような話なわけで、

「そんなの他人が口出す話じゃないじゃん。
 そうやって詮索されて、自分だったらどう思う?
 そっとしといてやれよ!」

なんてことを思いましたね。

 でもワイドショーネタになるってのは、そのネタで視聴率が取れるということで、そういうネタに興味深々で毎日チェックを怠らないような人がたくさんいるってことですよね。こういう人たちには、

「ああ、もう、そんな役にも立たないことに血道を上げるなよ!」

と言いたくなってきます。

 こういうことを考えていたら、ふとあることを思いつきました。

 酢こんぶは宇宙の構造とか、宇宙はビッグバンから生まれたのかどうかとか、量子力学から導かれる結論はほんとなのかどうかとかいうことにものすごく興味を持っています。当然こういうことを専門に研究している人たちもいっぱいいるわけで、その人たちも宇宙の構造とかに興味を持って、少しでも詳しく宇宙のことを知りたいとか考えてるんでしょうね。

 でもそれがわかったからって何かの役に立つわけでもなくて、言ってみれば、ただ興味本位で研究をしているんですよね。

 それってゴシップに命を燃やす人とどこが違うんでしょうか?

 「宇宙の構造について研究してます」というとなんか難しくて高尚なことをしているように思ってしまうけど、突きつめて考えると芸能オタクな人たちとなんもかわらんのじゃないでしょうか。
(言ってみれば「宇宙オタク」か?)

 てことで、宇宙の構造なんかにゃ全然興味ない人に、芸能ニュースにあまり興味のない酢こんぶが思ったのと同じようなことをいわれたりする日がくるのかなあ。

「なんでそんなどうでもいいことを詮索するんだ。
 あんたには関係ないんだからそっとしといてやれよ。
 宇宙がかわいそうだ!

とかね。(^_^;